2月17日「反応しない練習」(草薙龍瞬)を読みました。そしてその考えを1週間実践してみました。これ,凄いです。効果絶大です。
実は私,悪い癖があります。生活している中で,ふと昔あったことを思いだしてしまいます。それも唐突にです。そして,思い出すエピソードに応じて,怒りの感情や,悲しみの感情に流されていました。
その度に「何でこんなこと思い出すのだろう。」とも思うのですが,自分にはどうしようもありません。そしてそのときの感情が甦り,「怒り」や「悲しみ」にとらわれました。夜に思い出したときには,そのまま眠れなくなることもありました。
「反応しない練習」を読み,そしてそれを実践しました。「怒り」や「悲しみ」がゼロになったわけではありません。でも実践以前とは比べものにならないくらい,楽になりました。
この「練習」を続けていけば,そしてそれがより身についてくれば,「限りなくゼロにできるのではないか」ともすら思えるようになりました。
反応しない練習
この書籍は「ブッダ」の教えに基づいて書かれています。と言っても現在の仏教の教えを説いているわけではありません。
説いているのは,古代インドの賢者,行動する哲学者としての「ゴータマ・シッダールタ」の教えであります。
実用的で,合理的で,現代にも通じる「考え方」を示してくれます。
「心の反応」とは何か
本書のタイトルは「反応しない練習」です。それでは「反応」とは何のことを言っているのでしょうか。
何かを考える。いやなことがあって,つい腹を立てる。思い通りに行かない現実に,焦ってしまう。他人の目を気にして,「何か悪いことをしてしまったのかも」と疑ったり不安になったりする。
本書では,これらを「心の反応」と呼んでいます。
ついかっとなった怒りをぶつけて,人間関係を壊してしまう。忌まわしい過去を思い出して,苦い後悔に沈んでしまう。つい考えすぎて「やっぱり自分はダメな人間だ」と落ち込んでしまう。これらも全て「心の反応」に起因します。
無駄な反応をしない。
そのためにはどうすれば良いか。
本書ではそのことについて説いていきます。
「心は求め続けるもの」と理解する
人間には欲求があります。そしてそれを求め得られることで,「喜び」を感じます。得られないことで,「悲しみ」や「葛藤」を感じます。
仏教では欲求として「生存欲」・「睡眠欲」・「食欲」・「性欲」・「怠惰欲」・「感楽欲」・「承認欲」の7つがあるとしています。その中でも特に「承認欲」が大きいと言います。
“求める心”のことを,仏教の世界では「渇愛」と言うそうです。「求め続けて,いつまでも乾いている,満たされない心」のことです。これに心が反応してしまうのですね。
では反応しないためにはどのようにすればよいのでしょうか。
それはその思いを肯定してやることです。
「このままではいけない。何かが足りない。」
という思いを,
「人生とはそういうものだ。」と肯定してやります。
「心は求め続けるものだ。」と肯定してやります。
それだけで世界が少し住みやすくなるそうです。(私も実際にやってみて,少し生きやすくなりました。ちょっと悲しいことが続いていますのでね。)
「反応しない練習」もっと具体的に見ていきましょう。
「心の状態を理解する」 そのための方法
反応せずに理解する。特に「心の状態を見る」と言う習慣を持つことで,「ムダな反応」を抑えることができるようになると言ます。
これが私が実際に一週間ほどやってみて,その絶大な効果に驚いている部分です。
①言葉で具体的に確認する ラベリング
②体の感覚に意識を向ける 意識の世界から実在の世界へ
③悩みの種類を分類する
・貪欲(求めすぎ)・怒り(悲しみも怒りの一種)・妄想
それぞれ具体的に見ていきます。
①言葉で具体的に確認する。 ラベリング
心の状態を「言葉で確認する」です。例えば,苦手な人の前で緊張してしまったら,「私は緊張している」と確認します。心の状態にぺたりと「名前」を貼って,客観的に理解してしまうのです。これをラベリングと言うそうです。「言葉で確認する」作業は,メンタルヘルスの基本となります。
②体の感覚に意識を向ける。 意識の世界から実在の世界へ
目をつむって,手を開け閉めする感覚に意識を向ける。足の裏の感覚を見つめながら歩く。呼吸しながら,「おなかの膨らみ,縮み」や「鼻先を出入りする空気の感覚」を感じ取る。
これらを行うことによって,自分の意識を,執着や妄想といった「心の反応が生み出した思い」から,体の感覚という「実在」に向けるようになります。
私は2Kmの散歩時に,視覚・聴覚・嗅覚・そして体の動きや,足の裏に伝わる感覚を意識するようになりました。これは「体の感覚に意識を向け,実在を見る」良い訓練になっているように感じます。
妄想にとらわれかかったとき,①と②を行います。
私には素晴らしい効果を感じることができます。
③悩みの種類を分類する。
・貪欲(とんよく)・・・求めすぎ,期待しすぎ
貪欲にとらわれると,自分自身も苦しいし,関わる相手を不幸にします。
・怒り(悲しみも怒りの一種です)
怒りは徐々に蓄積されます。発散させなければなりません。
私は,妄想にとらわれて,夜に眠れなくなっていました。
心の状態をよく見て,怒りがあると感じたら,自分は今「怒りにとらわれている」と理解します。理解し,その感情を肯定することで,怒りは軽くなります。
私はそれだけで,本当に軽くなりました。我ながら不思議です。
・妄想
想像したり,考えたり,思い出したりと,頭の中でぼんやりと何かを考えている状態です。「あれこれと,つい余計なことを考えてしまう」「思い返して,怒り(悲しみ)の感情を覚える」などですね。本書によると,「妄想」こそは,人間が最も得意で,大好きで,ほぼ一日中絶え間なく繰り広げている,ナンバーワンの煩悩」だそうです。思い当たる事がありすぎて,嫌になります。
さて,「妄想」のリセットの方法です。
基本は「今,妄想している」と客観的に言葉で確認します。①「ラベリング」ですね。
そして,妄想とは全く別種の実在の世界「体の感覚」に意識を向けます。
「妄想」と「感覚」の違いを意識しながら,②「感覚に意識を集中させる」練習を積んでいくと,「妄想から抜ける」事が上手になっていくそうです。
私は,「妄想」だと意識したら,すぐに①②を行うようになりました。効果絶大です。
私の場合は基本的に「妄想」からくる「怒り(悲しみ)」の感情でした。
本書は,ブッダの教えとは「正しい理解によって,人間の苦悩から自由になる方法」と説いています。参りました。
本書はまだまだ続きます
以上は主に1章の内容です。以下ざっと印象に残っていること
2章 「真実でも,有益でもない判断は必要がない」
3章 「”快”を大切に」 「快を感じる生き方は合理的」
欲求を生きるエネルギーに変えて
苦を感じるようになったらリセット
4章 「怒りを結生させないために3選」
5章 「正しく競争する」
みんなよく頑張ってるな
最終章 道に立ったとき「人生を信頼できる」
「きっときっとたどり着ける」
最後に
「反応しない練習」についてです。「練習」とはよく言ったものであります。一度読んだだけでは意味がありません。具体的な方法を書いてくれているのです。後はそれを意識して,続けていくだけです。
私の場合は,
①「今妄想しているな」「これは怒りの感情だ」と言葉にして理解する。そして体の感覚を意識して,「実在の世界」を見る。
②「これは真実ではない」「有益でもない」 ならば,私にとっては必要がない。
③道に立ったとき,「きっとたどり着ける。」
ですね。
ありがとうございました。ずいぶん楽になりました。