ZTF(ズィー・ティー・エフ)彗星の観察に成功しました。日時は1月25日22:00頃から、26日0:30頃にかけてです。北斗七星と北極星の間ぐらいにおりました。眼視では観察することができず、双眼鏡で見ることができました。その後4代目天体望遠鏡で観察しました。
ぼや〜とした雲のように見えます。残念ながら尾は見ることができませんでした。これから尾を見ることができるようになるのでしょうか。写真撮影にも失敗してしまいました。
今回はZTF彗星観察の途中経過、そして彗星と私の関わりについて、書いていきたいと思います。
ZTF(ズィー・ティー・エフ)彗星
2月の初めに最も地球に接近します。正確には2月1日から2日にかけての夜です。その頃が一番明るく一番大きく見えるようになります。がしかし、その頃は月の影響を受けてしまいます。2月6日が満月です。
彗星は見え方としては、淡い光の雲です。空が明るいところでは、急激に見え方が悪くなります。ZTF彗星を観察するのは、1月末の月が沈んでからがベストになります。そしてその時間帯が、高度も高いです。
ちなみに2月2日の月の入り(沈むこと)は大阪時間で4:17です。日の出前には沈んでくれますから、見えないこともありません。がしかし、この寒波です。厳寒装備が必要になります。結構本格的な装備をした方が良いでしょう。
その上、予想光度は、最高で5等星です。暗い空でやっと見えるくらいでしょうか。観察するには双眼鏡が必要になります。私は1月28日の0時過ぎにも観察しました。残念ながら、彗星の醍醐味である尾は見えておりません。もう少し近づけば見えるようになるのでしょうか。見たいものであります。
私と彗星の出会いは1978年まで遡ります。40年以上前ですか。遥かに遠い日々ですね。
彗星と私
ウエスト彗星
前回書いたように、私が本格的に星を見始めたのは、高一の夏からです。以降しばらく天文ガイドなる月刊誌を購入しておりました。私はその雑誌の「読者の投稿写真」が大好きでした。その中でひときわ私の心をとらえたのが「ウエスト彗星」でありました。感動でした。がしかし、私が星への2度目の一目惚れをする前でした。自分で見ることができなかったことに、激しく後悔しました。
「もう少し早ければ・・・」
その思いは1996年「百武彗星」まで引きずることになります。
私が初めて自分の目で見た彗星は、ブラッドフィールドです。高校2年生でした。これは残念ながら、双眼鏡でやっと見ることのできた彗星でありました。彗星の特徴である尾を見ることはできませんでした。光のシミのようにしか見えませんでした。それでも,自分にとっての初めての彗星です。40年以上たった今でもその名前を覚えています。
私は,ウエストクラスの肉眼彗星をずっとずっと待ち焦がれました。残念ながら星たちに最も近かった高校時代には、そのような彗星と出会うことはできませんでした。
天体観測の専門家になりたい夢もありました。
私の高校の卒業アルバムに書いた将来の夢は、「絶対彗星見つけるぞ」であります。
選ばなかった、私の未来です。
ハレー彗星
1986年2月に地球に接近しました。ハレー彗星はその前の1910年の大接近があまりにも有名であります。その尾が地球と重なるほどの接近を見せました。彗星の尾にシアンガスが含まれることが分かってからは大騒動です(シアンは猛毒です)。酸素ボンベがかなり売れたそうです。悲観して自殺した人もいたそうです。まあそれほどの大接近だったのですから,さぞかし素晴らしい光景が見られたことでしょう。
あまりにも有名だったハレー彗星が帰ってきます。マスコミはあおりにあおりました。天体望遠鏡もかなり売れたそうです。がしかし,今回が前回と違うことは分かっておりました。1986年の接近は、ハレー彗星は地球から見て太陽の向こう側にあり,過去2000年以内では最も観測には不向きな状況でありました。マスコミに嫌悪した思いが甦ります。
それでも,大学時代の友人たちと,見やすい場所を探して,観望したものです(だってどうしても見たいって言うんだもの)。大学を卒業して1年は経っていたでしょうかね。友達は良いものです。
固定した双眼鏡で死兆星(北斗の拳より)を見せて,友人たちをからかったのが懐かしいです。
百武彗星
1996年3月25日〜26日(おそらく)にかけて観察しました。当初そこまで注目された彗星ではなかったような記憶があります。後ほど知ることになりますが,百武彗星の観望好機は極めて短かったそうです。私はその最好機に見ることができました。多分自分の人生の(同時期に見ることができた天文ファンたちの)最大のラッキーの一つです。
それまで,彗星に対して数々の失望を味わっていた私は,それほど期待せずに自宅の庭から,夜空を見上げました。
「 あ れ は 何 だ ! 」
愕然としました。思いもしなかった大彗星です。すぐに防寒装備に着替え,双眼鏡を持ち,車に飛び乗りました。暗い空を求めて車を走らせました。真っ暗な峠道の頂上付近で車を止めました。望んだ真っ暗な空です。車を止め,車から降り,夜空を見上げました。
我が目を疑う大彗星でした。
巨大な尾が 長く 長く 長く 伸びていました。
夜空の半分以上を占めていたと思います。
何時間その峠道に寝転がり続けたのでしょうか。
文字通り時間を忘れました。
ずっと ずっと ずっと 寝転がっていました。
今,書いていて,涙がにじんできました。
当時の思いが甦ります。 生きていて良かった。
その一年後,ヘール・ボップ彗星がやってきます。1997年の大彗星と呼ばれる,世界的に有名な彗星です。こちらも大彗星でした。両方を見ることができた私は幸せです。
その上で,ヘール・ボップ彗星よりも百武彗星が素晴らしかったと思います。
終わりに
百武彗星(1996年)を見ることができました。2011年のしし座流星群を見ることができました(これも一晩中寝転がってみました)。この2つだけでも私の天文ファンとしての人生は,全ての幸運を使い果たしたと言われても,納得することができます。
高校卒業以来,特に大学を卒業してからは,その時々にしか天体に触れては来なかったです。それでも,想いは叶うものですね。人生それほど悪くはないです。
P.S ZTF 写真撮れないんだよなぁ。iPhoneじゃ無理だよなぁ。