2代目クロを動物病院へ連れて行った。点滴を受けた。抗生剤と栄養剤と痛み止めの入った点滴だ。この点滴を受けるとしばらくは調子が良い。
点滴も最初は毎日だった。それが2日ごとになった。そして3日ごとになった。以前一度4日にしてみたが,調子が悪くなり,また3日ごとになった。調子が悪くなると,よだれがひどくなり,食欲が落ちる。「口の中が痛いのだ」とドクターは言う。鼻水がひどくなり元気がなくなる。
点滴を受けることで命を長らえていた。
次回の点滴を1週間後としましょう
2代目クロは,2月11日にネコ白血病を発症した。我が家にやってきてほぼ1ヶ月が過ぎた頃だ。13日に動物病院を受診した。「余命1週間」と診断された。治療として点滴を行った。
何度か治療をしているうちに,点滴が効いてきた。一時はもうだめだと皆が思っていたが,そこから驚異的に回復していった。
最初は毎日だった点滴も,直近では,4日ごとになっていた。「安定しています。このまま治療を続けていきましょう。」最近のドクターの決まり文句になっていた。
前回の治療の最後にドクターは言った。「いいです。次は1週間後にしましょう。安定しています。」
私はおそるおそるドクターに質問した。「クロは長生きできるかもしれないのですか。」
ドクターは答える。「その可能性はゼロではありません。」
「安定して,何年も生きた例はあります。」
私はこぼれようとする涙を耐えた。
おにぎり弁当と焼き鳥で祝杯を
私は昨年末で退職した。そのときに誓いを立てた。「平日の明るいうちは,アルコールを飲まない。」だ。私は,自分がアルコール依存症になる可能性を自覚していた。
クロが「ネコ白血病」と診断されて,2回目の治療に連れて行った帰り,私はおにぎり弁当と焼き鳥を購入した。横たわるクロを見ながら,缶ビールを2本開けた。もう誓いなどどうでもよかった。
「長生きできる可能性はゼロではない」
その帰り,私はおにぎり弁当と焼き鳥を購入した。あのとき買ったものと全く同じものだ。家へ帰って横で眠るクロを見ながら,缶ビールを2本開けた。
あのときとは違う。今回は「祝杯」だ。
妻と長女 誤解をする
ちょうど2本目を飲み出した頃,妻と長女が帰ってきた。今日のドクターの話を報告しようと思ったが,声に出すと涙が出そうになる。
私は黙って飲み続けた。目は潤んでいる。
潤んだ目で飲み続ける私を見て,妻と長女は「悪い診断」が降りたのだと思ったのだろう。何も聞かない。何も言わない。
そりゃそうだろう。2月14日の再来だ。
結構時間が経ってからだ。今日のドクターの話を妻に伝えた。
妻は声を張り上げて長女を呼んだ。皆で喜び合った。
どれほど生きられるかは分からないけれど
初めてキャットツリーに上った
人間で言う「寛解」の状態なのだろうか。
ネコ白血病をネットで調べてみるが,発症した場合がよく分からない。あまり良くない情報が多い。
取りあえず危険な状態は脱した。と言うところなのだろう。
まあ今はこれ以上考えても仕方がない。
少しでもクロが楽な状態で生きられることができればそれでいい。
P.S 一回4070円の点滴,まあそれも大した問題ではない。長生きせぇよ。